Cafe de Castella Annex

旅とカメラとエトセトラ

「Enter The Dragon」と当時の香港

DVD「燃えよドラゴン

ちょっと前にBook Offで見つけた格安のDVD。1973年製作・配給になった「Enter The Dragon」。邦題が「燃えよドラゴン」。もちろん主演はBruce Lee(ブルース・リー)です。

これが、税込み550円で売られていました。再生してみると、16:9のシネマスコープサイズなんですよね。ブックオフでこの値段だと昔のテレビサイズ、4:3の画角であることが多いのですが、日本語字幕、英語字幕も出るし、特典映像もふんだんにありました。香港・アメリカ合作映画で登場人物は全員英語を使っています(ただし、当時の香港映画の常とう手段として音声はあとで吹き込まれたものです)。

もっとも、本編が103分もあるので、特典映像はまだ見ておりませんが。

ブルース・リー

この1973年、日本でもブルース・リーがブームとなり学校にヌンチャクを持ち込む男子がいたり、怪鳥音を発してカンフーのまねごとをする奴もいたり。でも、日本でこの映画が公開時にはブルース・リーはすでに亡くなっていたんですよね。

映画の内容については、wikiなどを参照していただくとして、個人的には当時の香港の描写が面白かったです。映画の時代設定としてはフィクションですので、特定できるものではないのですが、ほぼ半世紀前の香港がそのまま出てくるんです。

ビクトリアピークのマダムタッソーろう人形館にて

映画では拳の達人たちが香港にやってくるのですが、その舞台となるのが現在の香港国際空港ではなく、啓徳空港になるわけです。現在は香港クルーズターミナルになっていますが、1998年まではこちらが香港の国際空港でした。

キャットストリートのポスター

九龍という市街地に近いところにあり、人々が生活する頭上スレスレに見えるようなところを飛行機が飛んでいて、映画にもこのシーンが使われています。

香港仔

その後、九龍あたりの描写に入りますが、タクシーなどはほとんどが日本車です。

香港にはもちろん自動車産業はなく、日本と同じ交通ルールですから、クルマは左側通行で右ハンドルです。半世紀前の中国には輸出できる自動車はなく交通ルールも逆になりますので、これはどうしても日本車が幅を利かせることになりますね。

個人的にも10年ほど前に香港を訪れているのですが、走る車はほぼ日本車でありました。現在はどうかな。BYDなど右ハンドルのEVを日本でも販売しているので、中国車がかなり普及しているとは思いますが。

唯一の例外が超一流ホテルや資産家が所有するロールスロイスだったりするわけですが、こちらも英国車で右ハンドルです。

そして、ブルース・リーらが乗り込んでいく島に向かうシーンですが、手漕ぎの小舟でやや大きなサンパンに乗り換えます。このロケ地が明らかに香港仔(アバディーン)という水上生活者が居住し、沖合にジャンボという水上レストランがあったところです。

ジャンボはもうなくなったらしいのですが、サンパンと呼ばれる帆船や手漕ぎボートは今でも健在でしょう。ジャンボもちらっと映り込みますね。

100万ドルの夜景

ご存じの通り、香港は民主派の排除とともに、中国の影響力が強く及び、香港返還後の約束でもある一国二制度が事実上無視されている状況です。

こういう状態のところにのん気に旅をするというのもどこか気が引けます。実際に行ってみると面白いんですけどね。

没後半世紀以上たってしまったブルース・リー、存命ならば85歳(王貞治氏と同年齢)。自由な香港を享受していた人からはどのように見られていることやら。

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